こちらでは、リズムについて考察します。各ページの「play」を押すと音が鳴ります。音は自動的に止まりますが、途中で止めるときには、「stop」を押してください。音の再生に関して、対応するブラウザに制限がある場合があります。
今回は、4分の4拍子について考察します。1小節のなかに4分音符が4つ配置するのが最も基本的な配置と考えまして、これを「『春の小川』形式の小節」または単に「春の小川形式」と、名づけることにします。この形式はさらさらした感じが出ていると思います。
さて、他の4分の4拍子の楽曲を聴いたり、楽譜を見たりしますと、「春の小川形式」だけではなく、もう少し複雑な音符・休符の配置になっています。それらについて考察していきます。
今回の考察として、「春の小川形式」を4分の4拍子の最も基本的、原始的、原則的、単純なものとして捕らえ、それを次々に変化させていく方法を採りました。(公開日2016/07/10)
セル・オートマトンってあります。初期状態と、変化のルールを決めると、その決め方によっては、複雑に変化する場合があります。初期状態として「春の小川形式」をつかい、各種の1次元のセル・オートマトンを参考にして、ルールを作って動かしてみました。
すなわち「春の小川形式」を初期状態、第1世代として、その状態をもとに少し変化させたものを第2世代として、第3世代、…と作っていきます。
元の世代がどうなってると、次世代がどうなるかは、以下のルールとしました。
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(1) 4分音符が2個連続していると、次世代に2分音符1個になる。
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(2) 8分音符が2個連続していると、次世代に4分音符1個になる。
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(3) 4分音符1個が、次世代に8分音符2つになる。
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(4) 8分音符1つと4分音符1つとがと連続していると、次世代に付点4分音符1個になる。
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(5) 4分音符1つと8分音符1つとがと連続していると、次世代に付点4分音符1個になる。
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(6) 4分音符が2個連続していると、次世代に8分音符1個と、付点4分音符1個になる。
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(7) 4分音符が2個連続していると、次世代に付点4分音符1個と8分音符1個になる。
これらのルールのうち、次世代を作るには、そのうちの1つだけを適用して作ります。
各次世代は元の世代からルールを1つ適用しますが、複数のルール適用が可能な場合には、おのおのを1回ずつ適用して可能なだけ次世代が作成されます。
なので、次世代として、複数が発生します。将棋の局面のように、枝が増えていきます。将棋において、次の局面に移行するには、駒を1回動かすのと似ています。
なので、次世代が1通りに限定されるセル・オートマトンではなく、ゲーム木のノードに近いものと考えることもできます。
元の世代と、孫の世代でまったく同じになることがあります。今回の考察では、今までになかった楽譜が、初めて発生した場合に、その世代を記録していきます。
そうしますと、9世代(8回の変化)ですべての可能な楽譜が作成されました。一般的な2次元などのセル・オートマトンの場合には、土地が広いので、複雑に広がったりしますが、今回は1小節で、8分音符までですので、変化も限られます。
その楽譜が最初に現れた世代を見ますと、そのリズムの複雑さと、それなりの関係があると思われました。後に新規に現れたリズムほど、シンコペーションなども起こり複雑さが高まっていると感じられました。ただ今回は、小節をまたいだシンコペーションは生じません。
さらに、今回は休符は無いものとして考察しています。
数学的には、1,2,3,4の数字を、何度使っても良く、また、使わない数字があってもよいので、その和が8になるものの順列となります。5、6、7、8の数字はどれも使えません。
これは、8分音符を1、4分音符を2、付点4分音符を3、2部音符を4として表したということです。
例えば「春の小川形式」は、「2222」となります。生成された各リズムをあらわすコードとして、この数字を使うこととしました。
8を1,2,3,4の和で表す方法(別の並べ方は別と数える)
拍の数で分類して求めることにする。
・8拍…「11111111」の1通り
・7拍…7拍中、どこの1か所を2にするかの決め方なので7通り
・6拍…2通りに分類して求めることにする。
311111
の並べ方なので6通り
221111
の並べ方なので$_6{\rm C}_2$=15通り
よってこれらの和なので6+15=21通り
・5拍
まず各拍に1つずつあげて、のこりの3つをどこに割り振るかの問題
残りの配分は、1つの拍に集中しても差し支えない(集中させても5や6や7の長さは生じない)。
3拍まとめて 5通り
2,1に分けて $_5{\rm P}_2$=20通り
1,1,1ずつ $_5{\rm C}_3$=10通り
よってこれらの和なので5+20+10=35通り
・4拍
5拍と同じ考え方で求める。但し、残りの4を1つの拍に集中して渡すことはできない。5の長さの拍が生じてしまうから。
3,1 $_4{\rm P}_2$=12
2,2 $_4{\rm C}_2$=6
2,1,1 4×$_3{\rm C}_2$=12
1,1,1,1 1通り
よってこれらの和なので12+6+12+1=31通り
・3拍
431 $_3{\rm P}_3$=6通り
422 $_3{\rm C}_2$=3通り
332 $_3{\rm C}_2$=3通り
なのでこれらの和なので3+6+3=12通り
・2拍…「44」の1通り
これらの小計の合計を求めればよい。
1+7+21+35+31+12+1=108通り
以下の表の左側が、2222から何手後にそのリズムが発生したかの順に並べたものです。同手数の場合には、コードを自然数と見た小さい順です。
以下の表の右側が、コードを数字として見た時の小さい順です。各リンク先で、そのリズムの音を鳴らすことができます。
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